ほとんど6mバンドで国内QSOだけやっていると50Wもあれば、あとはアンテナが何とかしてくれる的な感覚になってしまいます。さらに移動運用中心だと2アマを持ってても50W出力が上限なので、上級資格に魅力を感じません。が、固定でワッチしていてたまに入る6mのDXでパイルに参加すると、パイルが小さくてもなかなかコールバックが無く、ストレスもたまります。…ということで2アマをとりました。
ところが6mでも500Wが許可されるようになると、2アマ100Wでもまた同じような境遇に出くわすわけで、1アマを取ることにしました。アマチュア無線の資格では一応最高峰…ということもあり、記憶がさだかなうちに1アマ合格までの経験をまとめてみました。ちなみに私は電気技術系のサラリーマンで、普段からCWも苦手ながら運用している…というスタートラインです。
早速1アマを取る方向になりましたが、通信術、無線工学、法規の三教科…それぞれどのように試験勉強するか考えましたが、まずはやらざるを得ない環境に自分を追い込むために受験申請をしました。これでお金を払ったわけですからお金に対する執着心が強い私は勉強する気になりました。まあ、プレッシャーに弱いということもあるので、最低限科目合格(電信のみ合格)でもいいや的に考えるようにしましたが。
試験まであと3ヶ月…とりあえず勉強道具をそろえました。上級ハムになる本、問題集、電信のCDです。問題集とCDはCQ出版社に現金書留でお金と手書きの注文書を送って入手しました。上級ハムになる本は昔から持っていたものを使うことにしました。

無線工学は私が技術系サラリーマンであることも幸いして、電気回路と電子回路、電源、測定の半分くらいは何とかなりそうです。電信は普段の運用で聞いているので楽勝かと甘く見ました。法規は普段の運用である程度常識的に捉えることができそうですが、問題集を見ると聞いたこともないQ符号や、1アマならではの変更検査のことなどがあり、結構辛そうです。暗記と法律独特の難しい文章が苦手な私には厄介な科目です。そうはいってもマークシート方式、電信は和文も無く受信のみ…ずいぶんと敷居が低くなりました。さらに電信が無くなるようですが…。
毎日朝会社へ行く前に3分(つまり試験1回分)と夜10分、欠かさず電信の受信練習をすることにしました。まず試しに電信のCDで練習すると半分以上脱字…特に短点の攻撃が始まると10文字くらい軽く脱字します。また、単語の意味を無意識に理解しようとしてしまい、次の単語に乗り遅れてまたも脱字。こりゃ手強いなぁというわけで、夜は風呂に入る前と寝る前の2回に増やして、それぞれ10分受信練習することにしました。
ちなみに暗文練習は評判が悪い(5文字で終わる暗文で練習すると、5文字までの単語しか取れなくなってしまうらしい…)ようなので、平文のみに徹することにしました。さらにラバースタンプQSOだけやっていると、平文受信が実は壁になってしまうような気がします。
毎日毎日同じCDでやっていると、やはり文章を覚えてしまいます。そこでシェアウエアのCW練習ソフトを使うことにしました。外国のサイトから文章をもらっては貼り付け、練習文を100文ほど作りました。65字/分で練習することにしていましたが、3分程度の文章を荷つくろうのは結構面倒です。おまけにア・ポストロフィとかカンマとか、変な記号は削除したりもするので。
1ヶ月集中して、脱字はほぼなくなりましたが、集中して聞かないとやはり単語の意味を理解しようとして脱字してしまいます。これは最後まで引きずりました。
電信での脱字が減りだすと心に余裕が出てきました。そのようなわけで次は学科の勉強です。ところが仕事も忙しく、確保できる時間は電信の夜の20分が限界です。仕方なく土日を学科の勉強に当てることにしました。午前2時間、午後3時間、夜2時間を目標に実質午前1時間、午後1時間、夜1時間というペースで取り組みました。ちなみに勉強ばかりだとストレスもたまりますので、結構ぎりぎりの時期まで無線もやり、テレビも結構見て普通に過ごしていました。…これが後で勉強時間不足を招いたのですが。
何をどのようにやったかというと、上級ハムになる本は参考書として、問題集はガールスカウトが暗記で受かったという本に変更して、この本を暗記ではなく、理屈で解く、という使い方をしたわけです。というのも、過去問題集は類題が多く、達成感を得る(というよりやってもやっても先が長く感じてしまう本なので)のに時間がかかりすぎるということで、逆に類題がないガールスカウト本にしたわけです。
無線工学は、この本の問題を飛ばすことなく1問ずつ大学ノートに式を書き、自力で解く。解けたら黒丸(●)をつけ、参考書や問題集を見て解いたら白丸(○)をつけ、最終的に各々の問題で黒丸が3個になるまでやりました。さらに公式類も暗記せざるを得ないものは暗記しましたが、電圧計の倍率器、そのほか導き出せる公式は自分で導き出せるようにしました。キルヒホッフの法則で解く問題とかビオ・サバールの法則で解く問題、さらには受信電波を増幅するのに必要なゲインを求めさせる問題なども、難しいから捨てる人もいるようですが、いずれもよく考えれば問題を解く流れがパターン化されているので、何種類かの問題を何度か解いているちに苦ではなくなりました。難しいと思った問題ほど、問題集の類題も含めて何度も解きました。
法規についても条文の穴埋め問題は条文そのものをノートに書きながら条文自体を頭にいれるようにして、問題をこなしていきました。これも黒丸白丸をつけて同じように進めました。ただ、聞いたことも無いQ符号…QSWとかはさすがに覚えるのに苦労しました。つくづく暗記は苦手だと実感しました。
電信は欠かさずやったおかげで脱字は無くなりました。1ヶ月前ぐらいにはスピードも少し上げて80字/分くらいで取れるようにしていましたが、念のため65字/分に戻して残りの1週間練習することにしました。さらに1日10分を5回以上練習しました。練習当初は10分も集中して電信をやると、かなり疲れて2文目、3文目といくうちに、必ずといってよいほど脱字が増えましたが、この時期には10文くらい連続してもなかなか脱字はしなくなっていました。(集中力が続くようになったということでしょうか…)
1日30分も電信の練習をしていなかったのですが、練習開始から電信の書き取りに使った大学ノートもすでに4冊目です。昔からの癖で大文字ブロック体で欧文を書いてきたので、小文字の筆記体での受信にはあえて変更しないでやりました。少し字を小さめに書いたり、アルファベットの書き順を工夫すると80文字くらいまでは大文字ブロック体でもなんとかなりました。

学科はというと、なんと無線工学がまだまだなのです。先に強気なことを書きましたが、計測や電波伝搬、空中線、受信機などの少し複雑な計算問題がどうしても公式が覚えられず、苦戦しているのです。それら問題の白丸はすでに4個です。試験前1週間の余った時間で類題をやろう、などというのは到底甘い考えでした。仕方なくひたすら白丸の問題をやり続けました。法規のほうも、自分と縁遠い内容の条文の問題が未だ覚えられません。こちらもひたすら条文をノートに書くという単純作業に移行しました。気持ちの焦りもあって、会社も勉強のためにこの1週間で2日も休みました。おかげでガールスカウト本は全問題で黒丸3個になりましたが…。
試験前日は無理せず、昼間に過去の試験問題を1回だけ模擬試験としてやり、電信は寝る前に2、3文受信練習するにとどめ、テレビなんぞものんびり見て、さっさと寝ました。模擬試験的にやったものは出来が悪かったのですが、それはそれということで気にしないようにしました・・・といっても気になって、問題集などをパラパラめくったりしてしまいましたが…。
自分のやれる範囲のことはやった、というのが当日朝の気持ちであり、自信でした。晴海が受験会場でしたので、朝6時起床で7時前には車で出発しました。途中コンビニで昼食用のおにぎりとペットボトルの飲み物を買って、首都高速を飛ばしました。ところが予想外に道が混んでいて、なんと会場近くのホテル浦島着が9時15分…そうです、会場入場時間の期限です。30分前には到着して復習を…どころではなく、走って試験会場に行きました。会場はまさに問題用紙を配ろうというところでした。一番後ろの空いていた席について、試験官から解答用紙を直接もらい、早々に試験開始です。
まずは無線工学です。やったことのある問題、見たことのある問題がずらりとあります。過去問題と数値も同じという問題はさすがにありませんでしたが…。慌てて試験会場に飛び込んだおかげで緊張感は全くありません。むしろ息切れのほうが辛くて…。計算が複雑な問題は後回しにしてすぐに回答できる問題から解いていきました。そして見直しもそこそこに1時間半後には退出しました。手ごたえ有りです。
廊下に出るとあちこちからかすかに電信の受信練習の音が聞こえてきます。見れば皆ヘッドフォンをしてるではありませんか。そのような準備はしていきませんでしたので、まずタバコを一服。そして朝買ったおにぎりを廊下の椅子で食べながらネックになりそうな「法規」の問題をやりました。といっても、隣りのおじさんの耳元からもピーピー…なんだか落ち着きません。
そうこうしているうちに試験終了時間になったようです。ドッと粘っていた人たちが出てきました。ところが皆出てきたドアの近くから離れません。なんと電信の受信試験の場所取りのためだったのです。試験官が入室しても良いと伝えると、一気にみんな部屋に入り、場所取りをしてしまいました。のんびり廊下の椅子に座っていた私の場所は残っていた一番後ろの一番角…本当の隅っこです。座る場所で音ってそんなに違うのでしょうか…さすがにちょっと心配。
1時間ほどして試験官が電信のテープを流し始めました。「音の大きさはこのくらいでいいですかぁ?」と試験官が言うと数人がもう少し大きくしてほしいというようなことを言っております。私にはすでに十分すぎるくらい大きい音でした。ちなみに音の反響も無く、言われるほどブザー的な音でもありません。
そしていよいよ電信の受信試験です。まずAからZの練習文が二度流れました。いつもの練習と同じスピードに聞こえます。そしていよいよ本文開始!周りからはペンを走らせるすごい音です。ザザザァ…ザザザァ…一符合流れるたびにザザザァです。気になりましたが何とか気にしないようにして、脱字も無く書き取っていけました。が、緊張していたようです。今度はペンを持つ右ひじが痛くなり、次第に腕が硬直するような感じでとうとうそれが気になって5、6文字連続で脱字です。その後は何とか腕を引きずるような感じで文字を書きましたが、字も崩れ、最後は読めるかどうか…みたいな字になってしまいました。いやはや3分間がこんなに長く感じたことはありませんでした。毎日の3分間の受信練習とは大違いでした。
「ザザザァ」音ですが、昔2アマを受験したときは部屋が狭く、受験者数も一部屋当たりが少なかったのでしょう…ペンを走らせる音は気になったことはありませんでしたが、今回は強烈でした。
用紙回収まで十数秒はありましたが、腕が疲れていたので書いた文字を直したりはせずそのまま試験官に用紙を渡しました。色々ありましたが、これも結果的には手ごたえ有りです。…誤字は無いという前提ですが。
その後はすぐに法規の試験です。電信の試験のあと、トイレへ行って、タバコ吸って戻ってきたら、すでに問題用紙が配られていました。裏返しで置いてありますが結構透けて問題が見えます。そして試験開始。わかる問題から回答していきました。見たこと無いぞ?という問題が結構有りましたが、常識的な範疇で考えると、結構答えが絞れました。そうはいっても法規は今ひとつ手ごたえが…。見直しもほとんどせずに退出しました。
…終わったぁ…タバコがおいしかったこと。帰りがけに免許申請書を買って、缶コーヒーを自販機で買って車に乗り、ゆっくりのんびり帰ってきました。これでしばらくは勉強しなくて済む…。と思う前に、帰宅後早速答えあわせです。無線工学、法規とも8割は合ってます。一安心。ケアレスミスさえなければ合格…と思うと、顔も自然とほころびます。何週間後か、合格通知を無事手にしました。
